粘土の準備
工房の入り口には、いくつかの大きな桶が並んでいる。それぞれに異なる粘土が水と混ぜられて、じっくりと熟成されている。粘土は、採掘してすぐ使えるものではない。数ヶ月、時には数年、寝かせて、空気を抜き、粒子を整える。

この準備の段階が、最終的な器の質を決める。良い粘土なくして良い器はない。
轆轤の手
轆轤を回す職人の手は、驚くほど静かに動く。指先のわずかな圧力の差で、粘土の壁の厚さが変わり、形が決まる。
二十年以上轆轤を引いている職人は、目で見ずとも、指先の感触だけで器の壁の厚さを0.5ミリ単位で調整できると言う。これは「身体化された知」と呼ぶべきものである。
釉薬の調合
釉薬の配合は、各工房の機密事項である。鉱物の比率、焼成温度、窯の中での位置——これらの組み合わせが、京焼独特の色合いを作り出す。
工房の壁には、過去の試作品が並べられている。微妙な配合の違いが、まったく異なる発色を生み出すことがわかる。これは記録であると同時に、現役のレファレンスでもある。
登り窯——年に数回の祭
現代の京焼の多くは、電気窯やガス窯で焼成される。しかし伝統的な作品は、いまも登り窯で焼かれる。登り窯の焼成は、年に数回しか行われない。一度の焼成に三日三晩かかり、職人たちは交代で薪をくべ続ける。
完成した器が窯から取り出されるまで、職人にも仕上がりはわからない。窯の偶然が、最終的な作品の表情を決める。これは、設計と偶然のあいだに置かれた、特殊な制作のかたちである。